アジア小農業の再発見 [単行本]Ω

要旨（「BOOK」データベースより）アジアの村々で展開された縁の革命と、ＯＤＡの農業援助などによる農業の近代化は、何をもたらしたのか？それは農民の暮らしを豊かにするどころか、逆に不安定化させ、農業の破壊と環境の破壊をもたらすばかりであった。しかし、そうしたなかでアジアの伝統的農法、循環型農業、自然農法、複合小農業といった、もうひとつの農業づくりが試みられている。本書は、こうした農民の実践を支援するＮＧＯの人々が、豊富な経験と研究、調査をもとにレポートし、アジア農業の現在と未来を考える。目次プロローグ　豊かさが貧困を生み、生産が破壊を生む　大野和興第１部　援助と近代化はなにを生んだか第１章　カンボジア──食糧増産援助の波紋　岩崎美佐子第１節　カンボジア農業と食糧援助第２節　カンボジアへの農薬援助とNGOの対応第３節　食糧増産援助は問題を解決するか第２章　利権としての食糧援助　神田浩史第１節　アメリカの食糧援助第２節　賠償から援助へ第３節　ニッポン型食糧援助としてのKR2第３章　いかにして農民は自己決定権を失ったか　大野和興第１節　対立する近代化と民主化第２節　農業近代化の展開第３節　技術が自然の力を壊した第４節　農薬社会の出現第５節　モノカルチャーがもたらしたもの第６節　日本農業の現実第２部　もうひとつの農業づくりをめざして──アジア小農民の可能性第１章　生き方を取り戻すタイ農民　岩崎美佐子第１節　環境に根ざした農業と暮らし第２節　タイ経済の成長の影で第３節　換金作物化に特化して市場に巻き込まれる過程第４節　蔦農家に学ぶNGO第５節　オルタナティブな農業の営み第２章　いかにして地域の資源を取り戻すか　オルデンドゥー・Ｓ・チャタジー第１節　水第２節　土第３節　森をつくる第４節　アグロフォレストリー第３章　越境する志　大野和興第１節　地域をとりもどす第２節　循環をとりもどす第３節　農民の力をとりもどす第４節　伝統技術で自立する第５節　農民になる第６節　政治を動かすエピローグ　“つなぐ”ということ　岩崎美佐子内容紹介「農業近代化」の波がアジア農業をより大規模に浸食しつつある中で、各地の小農民たちの手で「もうひとつの農業」への試みが進められている。本書は、NGOなどで広く活動する著者らが現況を報告、その可能性を展望する。著者について岩崎　美佐子 (イワサキ　ミサコ)1944年生まれ。1986年からタイ東北部、北部において、ＮＧＯ活動家として農村開発に従事。地域の人びとが主体となる、熱帯の生態系を傷めないオルタナティブな農業の確立と普及に努めてきた。日本国際ボランティアセンター（ＪＶＣ）のタイ事業担当を経て、現在は中東事業担当。大野　和興 (オオノ　カズオキ)1940年、愛媛県生まれ。農業ジャーナリスト。村を歩き、現場からの発信を心がけてきた。日本消費者連盟共同代表、独立系ニュースサイト「日刊ベリタ」編集長。主な著書『農と食の政治経済学』（緑風出版）、『百姓の義―ムラを守る・ムラを超える』（社会評論社）、『日本の農業を考える』（岩波書店）、『百姓が時代を創る』（山下惣一・大野和興対論、七つ森書館）、『食大乱の時代』（共著、七つ森書館）、『危ない野菜』（共著、めこん）、『百姓は越境する』（共著、社会評論社）ほか。